短絡的思考
真っ先に、そのいつもと違う感じに気がついたのは、狩沢だった。
「ねぇねぇねぇゆまっち!」
「はい?」
がばっと、遊馬崎を振り返ると、その勢いで
言葉を発する。
「ちょ、どうしよう!!」
「何スか?」
遊馬崎が、何が、と狩沢へ問う言葉を遮るように。
狩沢がもどかしそうに口を開いた。
「ドタチンと渡草さんのシャンプーが同じっぽい!!」
「…それは、どういう」
興奮を隠し切れない狩沢の言葉とは裏腹、遊馬崎は、その発言に、
不思議そうな顔をして首を傾げる。
「つまり!同じシャンプーを使うような状況にあったって事じゃない!?」
「…なるほど」
遊馬崎に人差し指を突きつけて。
声も高らかに、狩沢が言い切ると、遊馬崎も納得したように、
ポン、と手を打った。
「ね!?気になるよね、ゆまっち!」
「あれっスね。これが二次元なら俗にいう、びーえる展開ってヤツ」
「わわわ、どうしよう!そんなコト身内であるなんて思ってなかったし!」
「いやいやいや、流石にそれは」
「わかんないじゃない!マジでそうかもしれないし!」
こうして、「身内の男2人ができている」説は、
真実なんてお構いなしに、暴走を始める。
「てめーらうるせーぞ!」
渡草は、騒ぎたてる二人に対して、声を荒げた。
自分が、話の渦中だとも知らずに。