SWEETs !?



所変わってマサラタウン。

久しぶりの里帰りは別に意図したわけじゃなく。

…まぁ、簡単に言ってしまえばタケシが言い出したわけなのだが。

「あっちの方面のジョーイさんがステキだから」云々。なんて言っていたのは聞かなかった事に、したい。

急ぎの用事もないわけだし、たまにはね。と。

マサラタウンにて一休みするに至ったわけだった。

 


「ただいま〜」

用事があると言っていたタケシたちとは別行動。

一人で家のドアを開けると、微かに驚いた顔のママと目が合う。

「え?あ!サトシじゃない!おかえりなさい。どうしたの?」

帰ってくるならくるで一言連絡くらい寄越しなさいよ、と付け足してのママの言葉。

「急にこっちに寄ることになったから、ヒマがなくて」

ごめんなさい、と肩をすくめる。

「まぁいいわ。ゆっくりしていくの?」

「ん〜。すぐ発つと思う。挨拶に寄っただけだし」

「そう」

そう言って玄関先に座ると、ママが微笑んで。

「ピカチュウも預けてきてるしね」

「そういえば、いないわね。……あ、そうだ。サトシ」

少し意外そうな声。そして、すぐに何かを思い出したようにサトシに向き直る。

「何?」

「確か、シゲルくんも帰ってきてるらしいわよ」

その一言で、一瞬時が止まる。

「……え」

「昨日着いたみたいよ、こっちに」

…顔がまるでリトマス試験紙。

サトシの顔がみるみる赤くなっていくのがあからさまで、ママも思わず苦笑する。

「ちょっ…おれ、行ってくる!」

「はいはい。転ぶんじゃないわよ〜!」

きびすを返してばたばたと駆けていく後姿に声をかけて。

その姿が見えなくなった頃。

「…頑張れ、青少年」

にこっと笑う、ママだった。

 


そろそろ息もあがってくる位で。

だけど、会いたい気持ちの方が大きくて。

あと少し。

思い切り、ダッシュしようとした、所で。

「…サトシ?」

…思いがけないコトに、自分の後ろから聞こえてきたのは。

とっても聞き覚えのある、ボーイソプラノ。

「…シゲル…」

ばっと後ろを振り返ると、面食らった顔をしたシゲルがいて。

「…どうしてここに…?」

「…シゲルこそ」

「僕は、ポケモンセンターの帰りだけど。何でココに君が?」

「たまたま、寄っただけ。タケシが寄りたいって…」

言葉の最後の方は口の中に消える。

照れてるせいなんだか何だか解らないけど、多少挙動不審。

どきまぎしている。

それよりも。

「…タケシ、あいつ…」


……僕がマサラにいる事、知ってたな。

なんて、不意にぴんときた。

ここにくる途中の街のポケモンセンター辺りで自分の行き先をふと告げた気もする。

大方、ジョーイさんにでも聞いたのだろう。

「?…タケシがどうかした?」

「いいや…それにしても、」

怪訝な顔で問うと、否定されて。

「ん?」

「少し見ないうちに、大きくなったよね」

シゲルはそう言って、サトシの頭に手を伸ばす。

「…むかつく」

「何だよ褒めてるのに。…ま、僕には届かないけど?」

「…追い抜いてやる…」

見上げるように睨めつけてくるサトシに、思わず笑みが零れる。

堪えきれなくてくつくつと笑うと。

「笑うなっ!」

ムキになって大声を上げるのが、尚更可愛くて。

「はいはい。ごめんね?サ〜トシくん」

「ぅわぁ!?」

冗談装って抱きしめると、サトシの体温が上がるのが面白い。

「…君はそのままでいいよ。…抱きしめやすいから」

追い討ちのように囁くと、一層真っ赤になったサトシが、何か言おうとして。

…舌を噛んだらしく、黙り込む。


「…大丈夫…?」

「…シゲルのばか…」

声は、耳を掠めて。

 


物陰でタケシが見ていたのは、2人には内緒の方向で。

 

 

 

友人に捧げたものでした。
お題で「シゲサト」って事で…。
もう矛盾だらけなのは見逃してやってください…。
本当に申し訳ないです。
それにしても。
シゲサト(というかポケモン自体)のss書いたのなんて7年ぶりですよ!!
98年から今まで全く書いてなかったので…懐かしい…。
泣けるほど話がぐちゃぐちゃで本当にすみません……。