ある一つの真実。

 

某月某日。


「あ、そうだ。…ねぇねぇはみちゃん」

「何でしょう?真宵さま」

何かを思い出したように声を掛けると、可愛らしい声が返ってくる。

「あのね。…結構前から言おうと思ってたんだけど」

「はい」

「私と、なるほどくん。恋人じゃないんだよ」

「…ええっ!?」

一瞬の間があって、春美が驚いた声を上げる。

ぴょこん、と結い上げていた髪が声と共に揺れた。

「中々訂正する機会がなかったから」

「…で…でも…」

「…ごめんね。でも、ちゃんと言っておかなきゃ悪いからね。

なるほどくんと…御剣検事に」

「え…!」

ぴょこん、と。

頭の上の輪が2つ、また跳ねる。

「あ…」

それを見た真宵はしまった、と言うように慌てて口を手で押さえる。

…もう、遅いのだけど。

「…なるほどくんと…みつるぎ検事、さん…?」

「…ま、いっか。別に悪い事でもないしね」

ふと、考え直して。

真宵は訝しげな顔の春美に、微笑む。

「…あの、その…真宵さま…それはつまり、おふたりが…」

「コイビト同士なんだよ。なるほどくんと御剣検事」

3回目。春美の髪が再度跳ねた。

「…おふたりとも、殿方ですが…」

「はみちゃん!好きになるのにオトコもオンナも関係ないよ!」

未知の領域なのだろうその事実に戸惑う春美を、説得するように真宵が強く言う。

「そ…そうですよねっ!好きになってしまったのならいたしかたありません!」

「うんうん。同性という壁を越えて結ばれちゃうんだから、すごいよね」

「困難をのりこえて結ばれる…なんてステキなんでしょう…すごいです、おふたりとも」

「しかも!対立する立場の2人がだよ!愛だよねぇ」

何故か、段々意気投合。

真宵は未だに力説しているし、春美はさっきの戸惑いなど無かったかのように。

うっとりとした表情でこの場にいない2人を祝福している。

「真宵さま!わたくし決めました!あのおふたりを応援いたしますっ!」

「お。いいね!あたしも一緒に応援するよっ」

「ぜひごいっしょに!」



そんなわけで。

当事者のいないまま、真実は明かされて。



けれど彼女が知ったのは、紛れも無い。

たった一つの真実。

 

そんなわけで。
やらかしてしまいました作品です…。
本当に色々とごめんなさい…。
そして何だか別人じみててすみません…。
うちのサイトの基本というかんじで。
話的には3のあとなのでしょうかね…。