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恋人と会えない日が重なっているある日のある時間。

メールの返事を待ちつつ、仕事してみるも。



どうしても気になる携帯電話。

頑張ってみても、仕事になんか集中できなくて。

思わず、デスクに突っ伏してみる。

今日は仕事がたて込んでいないのが幸いというか。

考える時間があるのが逆効果かもしれないけれど。

こんな心ここにあらずな状態で忙しかったりしたら、

どんなミスをやらかすかわかったもんじゃない。

 


いっその事、仮眠してしまおうか。なんて。

怠惰な事を考えて、瞳を閉じて。

ふぅ、とため息をついた刹那。

 


「…仕事中に寝るとは…」

誰かの存在感と共に。

苦笑の声色。

「…!?」

本気で驚いて、がばっと身を起こす。

ついでに何か口をついて出た言葉は、正直言葉になってない。

夢なんじゃないかと、本気で思った。

「……何て顔をしている…」

「……え…え〜と…」

思考回路が上手く働かない。

僕の目の前で呆れたように肩を竦めているのは、御剣本人で。

…彼からメールの返事がくるのを待ってた、わけなんだけど。

本人がくるとは、思ってなかった…わけで。

「…生きてはいるようだな」

「…みつるぎ…?なんで…」

やっとの事で紡いだ言葉はどこかたどたどしい。

「…無意味な死人を出せるか」

そう言って、御剣が携帯を投げてよこした。

ディスプレイは、受信メールを映してる。




『御剣不足で瀕死状態』



僕が、さっき送ったメール。

 



「……まさか、これを見て…?」

そう呟くと、ふいと顔を背けられた。

「今、キサマが死んだりしたら私が疑われる…」

 


そんな事あるわけがないのに。

よくわからないイイワケを言う御剣がなんかものすごく、可愛い。

何だか泣きそうな感覚と、幸せな感覚がごちゃ混ぜに溢れてきて。

衝動的に、御剣を思いっきり抱きしめた。

「会いたかったよ…」

抵抗される前に。

言葉も紡げない程、腕に抱きこんで囁く。

「…っ」

と。

もがいて腕を抜け出そうとされる。

それがあまりに必死で。

怪訝に思って腕を緩めると。

「…御剣…?」

「ケーキが潰れるっっ!」

慌てた言葉で、やっと彼の持っている箱に気づく。

「……ケーキ?」

「……美味しいと有名な店だそうだ」

そう言って、ケーキの入った箱を差し出される。

「…え」

「……キミも気に入るだろうと思って、買ってきた」

箱に書かれたお店の名前に、見覚えがあった。

以前、僕が食べてみたいと言っていたお店。

結構、遠かったはずなんだけど。

「……これ…」

驚いて御剣の顔を凝視すると、いつもの如く視線をそらされた。

「…仕事で、その店の近くまで行ったのだ」

ついでだ、とでも言いたげな口調。

言い訳っぽくて、笑いが零れた。

「…ありがとう」

すごい、幸せ。

囁いて、御剣の頬にキス。

照れ隠しのように憮然とした表情をした御剣を一度ぎゅっと抱きしめて。

「…食べようか、ケーキ」

「うム…」

「用意、してくるね」

そう言って、離れると。

さっきの体の重さがまるで嘘のような。

そんな、浮かれた足取りで紅茶を淹れに向かった。


MAIL→の続き、というかんじで…。
何だか相変わらずわけのわからない事になってます(涙)。
申し訳ありません……。