応酬

応酬


雨の降りそうな曇天を見上げた。

少し涼しい風が何故か心地良い。



「…そろそろ、堕ちては下さりませんか?」

彼を腕に閉じ込めて。

耳元でそっと囁いた。

本音を隠した声色。

余裕ともとれそうな表情を見遣って、諸葛瑾は軽く笑う。

「…良い返事でも期待した?」

「それは、勿論」

「悪いねぇ。…ご期待に添えなくて」

「…残念です」

言葉とは裏腹に、清々しいまでの声色で告げて。

魯粛は、諸葛瑾の身体をそっと解放する。



まるで駆け引きを愉しんでいるかのような言葉の応酬。

その一時すらも。



実は、こんなにいとおしい。









策士同士のイメージが抜けないのですが。
冷静ぶってても実は物凄く好きだったら嬉しいなと思うのです…。