睦語り
気怠い朝。
起きようと身体に力を入れると、全身が軋む感覚と鈍い痛み。
思わず体勢を崩した鍾離牧の顔を、隣にいた徐盛が覗き込む。
「生きてっか?」
「…加減しろよ…いってぇ…」
「昨夜言ってなかっただろ、そんな事」
睨めつけながら呟くと、さらりと返される軽口に。
鍾離牧は諦めたようにため息をついて、身体をゆっくりと起こした。
「…水…」
「口移しで良いなら飲ませてやるけど」
「…何でも良い」
「ちゃんと強請ってみ?」
そう言ってにやついている徐盛に、呆れた視線を投げかける。
「…馬鹿か」
「失礼な」
「良いから水寄越せ」
鍾離牧はそう言うと、徐盛のおとがいを捕えて彼の口唇を軽く舐めあげる。
そのまま、はやく、と耳元で囁いた。
せめてもの意趣返し。
行動についていけなかったらしく呆ける彼の顔を見て、鍾離牧は笑みを浮かべた。