「あなたは、私にとって」 微睡みの中で囁くような魯粛の声に、諸葛瑾は彼へと視線を投じた。 「ん?」 「…遠い、星のような存在だったんです」 恐らく他意の無い一言。 けれど、諸葛瑾の心を揺るがすには充分で。 「…何の話だか」 平静を装う声も、多分、微かに揺れている。 「幸せだという話ですよ」 自分が、星に喩えられるなんて想像だにしていなかった。 言葉そのままに、幸せそうな声色に諸葛瑾は思わずため息を吐く。 「…ばか」 誤魔化すように、呆れた雰囲気をふんだんに塗したその言葉には。 それでも、何処か優しさが含まれていて。 自覚のある諸葛瑾が苦笑を洩らす。 眠る刹那というのは、どうして。 こんなに素直になるのだろう、と。 それを認めるのが悔しくて。 再び緩いため息をつく事で、諸葛瑾はその思考を打ち消した。 |