狂態
それは、熱に熔けた狂気。
猛毒に侵されて、正常を逸した情。
何処までも、交わらない事を知っている。
その生き様を、その境界を。
敢えて、歪めて捻じ曲げた。
理由があった訳ではない。
強いて言えば、彼の毒気に中てられた。
或いは。
傀儡のような彼に、人と同じく体温があるのかが気になったのかも知れない。
今となっては、言い訳に過ぎない事ではあるけれど。
不意に掴んだ手首からは、規則正しい鼓動。
体温よりも、その感触が彼の生を実感させる。
当然の事なのに、何処か不思議だった。
「…何か?」
驚いたように、しかし僅かに面白そうな色を含んで李儒が問う。
「いえ…」
無表情を装った。
顔色を変えるでも無く呟いて、賈栩は、掴んでいた李儒の手首を離す。
「そうですか」
李儒は何事も無かったように呟いて。
その賈栩の手を逆に捕まえると、ゆっくりと手の甲に口唇を寄せた。
口は笑みをかたどって。
ひやりと。
氷のような冷たさだったのは、どちらだったのだろう。
ギャグですよこれ。
色々と。
…ごめんなさい…。
そして、文和さんの名前の漢字も当て字で失礼しました。