「お前はいつも幸せそうな顔をするな」
髪を梳くように頭を撫でながら、されるがままの孫静に。
甘い表情のままで孫堅が耳元で囁く。
孫静は、その言葉を擽ったそうに聞きながら。
「…幸せだから」
腕枕と、抱き締められている体温。
包まれている感覚が好きなのだと。
独り言のように囁くと。
ぎゅっと、思い切り抱き締められた。
「…愛い奴だよ、本当に」
零れる言葉には、抑えきれないらしい微笑み。
暫くの後、何かを思いついたようにゆっくりと腕を解く孫堅に。
孫静が不思議そうな視線で、孫堅の顔を覗きこむ。
その視線を受けて笑みを悪戯っぽいものへと転じると、孫堅は身体を孫静へ預けた。
いつもとは全く逆の体勢。
ちょうど、孫静の腕に抱かれる形で。
「…え…」
「…今宵は、お前に抱かれたい」
「兄様…」
驚いた孫静を気にも留めず、孫静の腕の中で瞳を閉じる。
「お前ばかり、ずるい」
「…もう…」
やや困ったような笑みを洩らして。
優しくその身体を抱きしめ、おやすみなさいと耳元で囁く。
夜明けまで、まだ遠く。
星のざわめきが聞こえそうな、夜更け。




あまりに寒いので、くっついてる話をと思って書いた話でした…。
別人でごめんなさい…。