こく

気付いていた。



美しいモノを好む彼の瞳に映るのが、誰なのか。

心を占めているのが、誰なのか。



想えば、想うほど。

惨めで、憐れで、滑稽で。



血が滲むほど噛み締めた口唇。





その動作を咎める様に口唇に触れた手は、残酷な位に優しくて。

振り払う事も出来ずに、彼の無神経さを忌々しく思った。









曹仁→張遼。
七夕企画。

07.07.07〜07.08.07