恋堕
「…気持ちの良い天気ですね」
ぬけるような青空と暖かな風。
可視光線を避けるように、陰になっている木に凭れかかっている諸葛瑾に。
魯粛がゆっくりと歩み寄って、すぐ近くで声をかける。
「…あんたも暇だねぇ」
「そう見えますか」
「そうとしか見えないけど」
返された言葉に、魯粛が微笑んだ。
「存外、充実した毎日ですよ」
それが何に対しての言葉なのかは、敢えて告げないけれど。
微かに楽しそうな色を声に乗せて呟く。
そんな魯粛の耳元に、不意に諸葛瑾が口唇を寄せた。
耳朶に口付けるのと大差ないほどの至近距離で。
「…堕ちるのも、悪くないかもねぇ」
そう囁いて。
魯粛の髪の毛を掬い上げ、それに口づける仕草。
驚いた顔の魯粛に、諸葛瑾はふっと微笑みかけて。
そのまま、踵を返してその場を去る。
突然の出来事に、取り繕うことも出来ず。
真っ赤になった魯粛をその場に取り残したままで。
2人とも別人でごめんなさい…!
一応これで相思相愛…?
「こいにおちる」と読みます…。