開戦前



「本音を言えば、自分が孫桓の傍にいたいから、だと」

「…本当に好きなんだな…」

孫策の言葉に、周瑜が嘆息した。

そのまま、諦めとも呆れともつかない表情で、周瑜が視線を陸遜へと移す。

一見冷静な顔をしている彼の、今回の参戦理由である。

「…ま、良いんじゃねぇ?」

「……戦に私情を挟むような真似を許すと?」

「戦略を考慮した上での発言なら、却下する理由もないだろ」

「随分、物分りの良い見解だな」

別に異存はないが、と付け足して周瑜が呟くと。

ほんの少し、微笑んだ孫策が。

「俺も、想い人と一緒に戦場に出てるからだろうな」

そう、周瑜を抱き寄せて耳元で囁いた。

お互いの鼓動を共有する距離。

不意に、周瑜が孫策の耳元まで口唇を近づけて。

そして、期待する孫策に囁かれたのは、一言。

「燃やされたいか?」




同じく出陣していた韓当の嘆息は、戦闘が開始される合図で掻き消されたのだという。





ネタデッキネタでした(何)。