戯遊
先が全く不透明な毎日。
ともすれば、明日が無いとさえ錯覚してしまいそうな。
「今日も一日オツカレサマデシタ、ってか」
投げやりに呟いた魏続が、寝台に勢いよく倒れこんだ。
仰向けになって目を閉じると、不意に光が翳る感覚。
不思議に思って瞳を開けるよりも先に、口唇に柔らかいものが触れて。
その輪郭をなぞるようにして、離れていく。
距離を取ろうとした侯成の頭を引き寄せ、吐息の重なる位置で瞳を覗き込んだ。
「…何だ」
「足りねえ」
「…知るか」
ぶっきらぼうに呟いて、無理矢理視線を逸らしたのは、恐らく照れ隠し。
魏続は口元だけで微笑んで、今度は自分から口づけた。
口唇を貪るように重ねあって。
舌を絡め唾液を奪い合うような、甘さとはほど遠い口づけに溺れてみる。
「…ん」
角度を変えると不意に上がる声に、劣情を煽られて。
ひかれるように寝台に乗り上げると、軋む音がやけに淫靡に聞こえた。
「…こういう時だけ可愛くなりやがって」
濡れた口唇を僅か離して毒づくのは、照れと煽られた悔しさが故。
「…惚れ直しただろ?」
「ただの厭味だ」
「…おい」
軽い戯言の応酬。
何か言い募ろうとした言葉を遮る様に。
口唇を軽く噛むと、思い切り噛み付き返される。
微かに口の中に広がる、鈍い血の味に満足そうな表情をしてみせるから。
今回は思い切り虐めてやろうと頭の隅で考えて、侯成は魏続の衣服に手を掛けた。