I Know Code to Bar 〜 4 U 〜 



「…好きだよ」

もはや、挨拶のように当たり前になった言葉は。

それでも重みが無くなる事はなくて。

悔しいながらも、速まる鼓動を抑えながら。

「…離せ…」

抱き寄せる腕に、形ばかりの抵抗をして。

「やだ」

「…キサマは…」

「だって、ほんとに離したら怒るもん、御剣」

「ッ…!?」

からかう様に呟かれて。

その涼しげな顔を睨めつけると、微笑で返される。

「……離して欲しい?」

「と、言っているだろう…」

「…やだってば」

なんて。

解りきった返答。

口ではいいだけ、嫌がって。

でも、離れられない程にしがみつく。

背中に回された手は、無意識だから。

 


自分で気づくまで、言わないでおいてあげよう。

 


「……そろそろ真宵くんが、帰ってくる」

「じゃぁ、それまで」

了承を得るように。

赤く染まった顔を覗き込むと、しばらく答えに詰まって。

ようやく、微かに首を縦にする。

 


ぎゅ、と御剣を抱きしめる力を強めて。

「好きだよ」

「…さっきも、聞いた…」

「じゃ、愛してる」

「…真実味に欠ける…」

 


嘘をついてみる。

真実味がありすぎて、逆に疑うほどに。

その言葉が心地良い重みをもたらすから。

何度言われても、心に火が灯る。

 





「……まだ、入れそうにないなぁ……」

実は既に玄関先で、真宵が立ち往生している事にも気づかずに。

 

 

タイトルは発音曖昧で読んでください(笑)。
I Know Code to Bar。「アイノコトバ」です。
直訳すると「私は弁護士として法律を知っています」
とかになってしまうのでご容赦を(苦笑)。
それすら怪しいので…申し訳ないです。
なんだか似た話にしかならなくて…。ごめんなさい…。