仄か
「…癖ですか」
「…は?」
書簡を手渡した、その直後。
突然。
何の脈絡もなしに、李儒が賈詡に問いかけた。
訝しげというよりは胡乱気に眉を一層顰める賈詡に、李儒は苦笑とも取れる笑みで口を開く。
「いつも気難しそうな表情をしておられる」
「…気にした事など、ありません」
「勿体無い」
「…何がです」
釈然としない表情を浮かべたままの彼に。
「…自分でお考えなさい」
聡明な頭脳をお持ちなのだから。と。
厭味なのかもしれない一言を付け足すと。
去り際に、ふれたか否か解らないくらい曖昧に、賈詡の眉間に口唇を落とした。
「……な…」
珍しく唖然とした表情を見せる彼をちらと見遣って。
李儒はそのまま何事も無かったかのように、平然と立ち去る。
暫く呆気に取られたままの賈詡だけが、時間に忘れられたようにその場に置き去りのままだった。
バレンタインにあわせて…。
どうしてこの二人の話をバレンタインに書こうとしたのか不可解でなりません。
皆様が幸せなバレンタインを過ごせますように!!
2007.02.14