偏愛

偏愛


「玉璽が狙いなら、玉璽で誘き出すまでのこと」

「ほう…?」

「…囮に使えば、玉璽に惹かれた者が必ずやって参ります」

曹操に進言する張遼の声色は、驚く程に淡々としていて。

しかし、その中にも何処か面白そうな雰囲気が含まれている事に気付き、

曹仁は心の中で舌打ちした。



理由なら、解っている。



興味があるのだ。

彼ら、というよりは。

彼自身に。



「…俺が仕留めに行ってもいいよなぁ?」

軽口の割に、有無を言わせぬ口調で曹仁が告げる。



「…接触した後、援護に参ろう」

「必要ねぇよ、そんなもん」



苛立ち混じりの言葉。

余裕をまとうはずだった、その言葉は。

自分でも笑いたくなる位にあからさまで。



ただ、苛立ちだけが募るのを感じる。



曹仁は、踵を返すと。

振り返りもせずにその場を去った。











曹操と張遼と曹仁。
13話の前くらいの話。
いい加減報われない曹仁が可哀想になってきます(苦笑)。

タイトルは今回ずっと聞いてた曲から…。