ショートカクテルを一気に呷りすぎた自覚はある。
とはいえ、足元がおぼつかなくなる位に酔うとは思ってもいなかった。

「…酔いすぎ」
1人では、真っ直ぐ歩くことすらできないディーノに肩を貸している雲雀が、
呆れたようにため息を吐いた。

「…悪い…」
美味しかったから、つい。と。
申し訳なさそうに呟くディーノは、ひどく酔っているものの、
意識も思考も、しっかりしているようだった。

ただ、足元がおぼつかなかったり、1人で立ち上がることができなかったり、と、
身体が本人の思う通りには動いてくれないらしい。


「据え膳、なんだけどね…」

顔のすぐ横でふわふわ揺れる、蜜色の髪を目の端に捉えながら。
雲雀がそう呟いた。