2人の手には、澄んだ青色のショートカクテル。

ディーノがやけに上機嫌なのは、料理は勿論、
出てくるカクテルが、どれも美味で、なおかつ珍しいからだろう。

日本酒を好む雲雀が、日本酒を飲みなれていないディーノのために、
用意させているのは、日本酒をベースにしたカクテルだった。

先程から次々と出される、ショートグラスには、
色鮮やかなアルコール。

一般的な日本酒が無色透明で、独特の味である事を知っているディーノは、
その色と味の変化が気に入ったようで、上機嫌なのは、一目瞭然。

「美味しい?」
普段、皆の前ではめったに見せない優しい微笑みで、
雲雀はそんなディーノに問いかける。

「…ああ、すっげー美味い」
その微笑みにつられるように、ディーノがにっこりと微笑んだ。

「そう。…よかった」
そう言って、雲雀は、アルコールのせいで微かに上気した、
ディーノの頬に、撫でるような柔らかさで触れる。

「恭弥?」
「…綺麗だと思って」
「……酔ってんだろ」
「全く以って、素面だよ」

視線を彷徨わせたディーノにさらりと告げ、
ゆっくりと頬から手を離す。

ほんの少しの沈黙の時間。

やっぱり綺麗だ、と。

照れ隠しのように、目の前のカクテルを一気に飲み干したディーノに
視線を留めながら、雲雀は自分も、そのカクテルを呷った。